チャットGPTを活用したコンテンツ作成と注意点

会話形式でAIとやり取りできる ChatGPT。
とても簡単に様々な質問に答えてくれることから、検索エンジンとの競合やSEOへの影響などがうわさされています。

この記事では、ChatGPTで何ができるのかなどの基本的な紹介から、
SEO対策との関係、コンテンツ作成にChatGPTを使うときの注意点などをわかりやすく解説して行きます。

ChatGPTとは?

「ChatGPT」は、2022年11月に「OpenAI」がリリースした、AI(人工知能)がチャット形式で様々な質問に答えてくれる無料のサービス。(有料版もあり)

2023年1月時点(リリースから2か月)で、世界のユーザーが1億人を突破し、1日平均の利用者も1000万人を超えているいうことですので、驚異的なスピードでユーザーが増え続けています。

OpenAIは、イーロンマスク氏などが出資して設立されたAI研究所。
人類の発展に資するAI開発の理念で設立され、マイクロソフト社の出資も受けています。

「ChatGPT」を始めるには、
ChatGPTトップページから「ChatGPTを試す」ボタンをクリックして、
メールアドレス・電話番号を入れて、
スマホにショートメールで届く6桁の番号を入力するだけ。

本人プロフィール(氏名等)の入力などは一切ないですので、無料で気軽に始められます。(登録作業時間は数分程度)

それでは実際に使ってみましょう。
使い方もとても簡単。
右上のボックスで「日本語」を選択しまして、
あとは質問を入力して「Enterキー」を押すだけ。

画像の説明

では、実際に質問して見ましょう。

【質問】
映画RRRのあらすじを教えてください。

【AIの回答】
「RRR」はインド映画で、1921年にインド独立戦争が行われた時代を舞台としています。主人公の2人のレジャリー・レボリューショナー(解放戦士)が、インド独立のために苦闘する様子を描いています。彼らが国家のために立ち上がっていく過程や、インド独立運動に関わった人々との戦いを描いたアクション・ドラマです。

返答までの時間はわずか15秒程度でした。
簡潔で、わかりやすい回答です。日本語も自然ですね。

ChatGPTで何ができる?

「ChatGPT」で何ができるでしょうか?できることの例を列記します。

  • 質問への回答
  • 文章の要約
  • 文章翻訳
  • Excel関数の表示
  • プログラミングコード生成
  • 作詞・作曲
  • 架空の話の創作
  • 会社の企画書立案
  • webページ用の見出し立案
  • webページ文章の作成
  • 悩み相談
  • 小説のあらすじ作成

など、様々なことが可能です。ぜひ、実際に試してみてください。

ChatGPTは間違わない?

「ChatGPT」は、間違ったことを表示しないのか?
これ、気になるところだと思います。
では、実際にChatGPTでAIが回答した例を見てみましょう。

【質問】
司馬遼太郎の小説「坂の上の雲」のあらすじを教えてください。

【AIの回答】
「坂の上の雲」は、司馬遼太郎の代表作とされる小説です。日本の明治時代を舞台に、坂本龍馬という若者が、国家と人々のために奮闘する物語が描かれています。主人公の龍馬は、自分の母国を愛する情熱と、人間としての誠実さから、政治的な陰謀や暴力に立ち向かいます。彼が成長しながら困難を乗り越え、最後には国家と人々の権利を守るために戦いに臨む、壮大な物語です。

「坂の上の雲」の主人公は、坂本龍馬ではなく、秋山好古・秋山真之・正岡子規の3人を中心に書かれています。また、坂本龍馬は明治時代の人物ではなく、幕末に活躍した人です。

このように全く間違った回答が出ることも現状では多々あります。

この調査を行ったのは、2023年2月ですので
AI機会学習によって回答の精度も上がってくると思いますが、現状は、この程度の精度と内容、ということです。

ChatGPTで、SEO対策のブログ記事を量産できる?

「ChatGPT」を使って、「SEO対策のブログ記事を量産できる」とする内容の情報がかなり多く流布されています。
YoutubeやTeitterなどで、数万の再生数、数十万のリツイートなどとなっているようです。

では、本当に

  • ブログ記事を量産できるのか?
  • ChatGPTを使った記事の量産は、SEO対策となるのか?

についてみて行きましょう。

まず、AIに「記事の見出し」を考えてもらいましょう。

【質問】
検索エンジンとは、という題でブログ記事を書く時の、見出しを考えてください。

【AIの回答】
1."検索エンジンとは?基本概念と機能を理解する"
2."インターネット検索のパワー:検索エンジンがもたらすメリット"
3."検索エンジンの仕組み:アルゴリズムとインデックスの謎"
4."検索エンジン最適化(SEO):サイトをトップに引き上げるテクニック"
5."人工知能技術と検索エンジン:未来の検索の見通し"

まあ、それなりの見出しになっているようには見えます。

では、次に、見出し1.の文章をAIに書いてもらいましょう。

【質問】
"検索エンジンとは?基本概念と機能を理解する"という見出しでのブログ記事を500字程度で書いてください。

【AIの回答】
検索エンジンとは、インターネット上の情報を効率的に探すためのツールです。検索エンジンは、数多くのウェブページを自動的にインデックス化(分類・整理)し、キーワード検索によって目的の情報を見つけることができます。

検索エンジンは、幅広いタイプがありますが、基本的な機能は検索ボックスにキーワードを入力し、検索結果としてリレーションシップが高いページを表示することです。検索結果は一般的にリレーションシップの高い順に表示されます。

検索エンジンは、毎日のインターネット検索にとても重要な役割を果たしており、インターネット利用者にとって不可欠なツールとなっています。検索エンジンは常に進化しており、より確実でスムーズな検索を提供するために、新たな技術やアルゴリズムの開発が続けられています。

どうでしょうか?
まとまっていると言えばまとまっていて、わかりやすくはあるのですが、
回答が「一般的」で、「模範解答」を示されたような感じでですね。

このAI回答を読んで、あなたは「なるほど!」と満足感を得られたでしょうか?

上記の方法は、Youtubeなどで流されている、「ブログ記事量産の方法」で、
あとは2.~5.の見出し内容をAIに回答してもらい、コピペで終了、ということです。
確かに、このやり方で記事量産は可能です。
ほんの数分で、1記事が完成してしまい、しかも無料でできます。

問題は、このような記事作成が、SEO対策として有効かどうか?、です。

結論から先に言いましょう。

このような記事作成の方法と記事の品質では、
SEOにマイナスの影響が大きく
これを続けるとサイトの上位化は、ほぼ絶望的になって行きます。

なぜそのように言えるのでしょうか?

ChatGPTとSEO対策

ChatGPTを使ってSEO対策ができる、という考え方が広がっていますので、ここでは、AIコンテンツとSEO対策について考えて行きましょう。

とくに、ChatGPTでの回答をそのまま利用するコンテンツ作成が、SEO的にどのような意味を持つのか、見て行きたいと思います。

ヘルプフルコンテンツアップデート

2023年1月に「ヘルプフルコンテンツアップデート」と名付けられたGoogle検索エンジンのアップデートが、全世界でロールアウトされました。

「ChatGPT」のリリースが2022年11月ですので、約2か月後、ということになります。

「ヘルプフルコンテンツアップデート」の特徴は

  • AIによる機械学習システムで、WEBページのコンテンツ評価を行う
  • 品質の低いコンテンツは「0」点ではなく、「マイナス」点となる
  • サイトごとにコンテンツ評価点が加算され、「マイナス」も加算されてゆく
  • 評価の低いサイトは、個別ページの評価も下がり、検索順位が下がって行く

かなりインパクトのあるアップデートとなります。

品質の低いコンテンツ・記事ページを量産すれば、マイナス評価が加算されて、そのサイトのダメージは大きく、検索順位は上がらなくなり、
そのようなサイトから貼られた「リンク」も、完全に無効化され、意味をなさなくなります。(「リンクスパム対策アップデート(2022年1月)」)

つまり、ChatGPTを使った、品質の低い記事の量産は、
「意味がない」ということと同時に、
「SEOに大きなマイナスとなる方法」と言えるのです。

では、「品質の高いコンテンツ」とは、どのようなものでしょうか?

Googleは、「人間が人間のために作成した独自性のある有用なコンテンツ
と表現しています。

  • 「人間が」
    人が、責任をもって書いていること(ロボットが書いたものではない)
  • 「人間のために」
    検索エンジンというロボットの評価を上げるためではなく、
    それを読む人のために書かれていること
    (ロボット対策ではなく、人の満足)
  • 「独自性のある有用なコンテンツ」
    他のページにある似たような内容ではなく、
    独自の研究・探求・検証などの「独自性があり、他にはない「付加価値のあるコンテンツ

ということです。

ChatGPTを使ったコピペに近いコンテンツでは「品質が低い」と判定される可能性が極めて高い、と言えます。

E-E-A-T と AIコンテンツ

Googleの品質評価ガイドラインの「E-E-A-T」というコンセプトとの関係で、AIコンテンツをウェブサイトコンテンツとして使うことについて考えてみます。

「E-E-A-T」(Experience, Expertise, Authoritativeness and Trust)とは
E(経験)、E(専門性)、A(権威性)、T(信頼)のことで、
ウェブページ品質評価の重要考慮事項です。

  • 経験…コンテンツを書いた人がその内容について、どのような経験を持っているか
  • 専門性…コンテンツ作者の専門的な知識やスキル。その内容についてのプロまたは愛好家であること
  • 権威性…コンテンツ作者が信頼できる情報源としてネット上などでどのように認知されているか
  • 信頼…ウェブページが、正確・正直・安全などの面で信頼できるか

これらの基準を考慮したとき、AIが回答した文章をコンテンツ化した場合に、どのような評価となるかは、明らかかと思います。

とくに「YMYL」と呼ばれる医療・財産・法律などの、生活・健康・人生にかかわる重要な情報は、間違った情報がネット上で流布されることは、人の不幸と社会的な損失につながりますので、E-E-A-Tやコンテンツ作者の専門性が強く要請される分野です。

AIによる回答を、その分野の素人がまとめたページは、低い評価となり、
そのようなページを量産するサイトは、検索エンジンから、大きなマイナス評価を受けることになります。

AIをSEOにどのように活用すればよいか?

ここまで見てきたのは、ChatGPTのAI回答を、「そのまま」または「小さな修正のみで」コンテンツとして使った場合に、SEO的にどのような評価が下るのか?という点でした。

ただし、ChatGPTなどのAIは、SEOに絶対に使っていけないかというと、そういうことではありません。

Googleは、AIコンテンツの「利用・活用」については問題視していません。

AIの活用

コンテンツを作成する際に、
ChatGPTの回答を参考にしたり、着想を得るために活用することは、全く問題ないのです。

AIが書いた文章を基にしていたとしても、
きちんと情報の裏を取り、正確性を担保したうえで
「人が人のために」「独自性と付加価値があり」「閲覧者が心から満足する」コンテンツを作成すれば、それは高品質のコンテンツとして、SEO効果の高いwebページとなります。

おそらく、AIと人の関係は、SEOだけでなく、多くの場面でそういうことだと思います。

新しいテクノロジーを、最終的には、
人がどう使い、新たな創造につなげて行くか。

ChatGPTは、これからAIの機会学習によって精度を上げ、より役に立つものになり、
大きなプラスの影響を人類にもたらしてくれるものではないかと期待できます。
必要に応じて活用し、より価値の高い・創造的なものを生み出して行きましょう。

ChatGPTと 検索システムのこれから

ChatGPTの利用が広がると、Googleなどの検索システムの利用者は激減して行くのではないか?という議論も広がっているようですので、
ChatGPTと 検索システムのこれからについて、考えてみたいと思います。

ChatGPT・検索システムは、全く違った情報であり、利用価値も全く異質なものですので、
それぞれが、必要な情報源として、人々が必要に応じて使い分けるものになって行くと考えられます。

それぞれのメリット・デメリットを列記してみます。

「ChatGPT」のメリット・デメリット

【メリット】

  • 簡単に使える
  • 得たい回答がピンポイントで得られる
  • 文章が平易でわかりやすい
  • プログラムコードなどの専門情報も瞬時で得られる
  • 小説・音楽を創造するための着想に使える
  • 活用次第で、小規模事業者・個人でも、大きなビジネスが可能になる

【デメリット】

  • まだ、間違った内容が表示される段階
  • 個性のない、平均的な内容が多い
  • 人が思考しなくなる可能性もある
  • 誤情報の発生源になる可能性がゼロではない

ChatGPTは、主にネット上の情報(人間が書いた情報)を収集して、
AIが機会学習によって答える世界です。
情報の元は、webサイトなどの人間が生み出した情報であるということが基本です。

まだ、リリースされたばかりで、いろいろ欠点も目立ちますが、じきに精度が上がり、利用メリットも広がると思います。

「検索システム」のメリット・デメリット

【メリット】

  • 上位表示されている情報には誤りが少ない
  • システムが時間をかけて進化しており、信頼性が高い
  • 人が責任をもって書いた文章・内容が表示される
  • 企業・個人などが情報発信を行える強力な場所
  • 人々が、商品やサービス情報を入手し、精査できる
  • 人間の思考の結晶が蓄積され、利用しやすく整備されたシステム

【デメリット】

  • 得たい情報を見つける・探すのに苦労する
  • 文章が難解な場合も多い
  • ビジネス目的で、本当のことを隠していることがある
  • 誇大広告、大げさな言説もまだ存在している
  • 資金力のある事業体が、上位表示しやすくなる傾向が生じつつある
  • 本当に価値ある内容が、上位になるわけではない

検索システムは、人が努力して作り上げたコンテンツを、
ロボットが順位を決めて表示する形です。

進化し続けているとはいえ、
まだ上位化にはテクニック的な要素・資金力の要素が残っており、今後の検索エンジン進化を期待したいところです。

まとめ

ChatGPTを利用したAIコンテンツを、安易にwebページの記事にすること、それを量産すること…
これはSEO的にプラスの意味をなさないだけでなく、「大きなマイナス」要因となることをご説明してきました。

コンテンツは、最終的に、私たち人が、「人のためになり、満足感を与える」「独自性・付加価値のある」コンテンツを生み出す努力を抜きに、価値は生み出せず、SEO効果も上がらない、ということです。

AIというテクノロジーには大きな可能性があります。

ChatGPTの活用も、小さな資金力しかない企業・個人にも大きな何かを作り出すヒントや情報をもたらしてくれる可能性が大いにあります。

おそらく、AIは、人類の考え方・使い方によって、プラスにもマイナスにも作用するのだと思います。

一番大切なことは、人が考え続けることなのかもしれません。

著者:SEOコンサルタント・SEOホームページ代表 占部圭吾

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