MUMの検索エンジン搭載とこれからのSEO対策
Google検索エンジンに「MUM」搭載開始!
Googleの検索エンジンに、
最新のAIモデルである「MUM」が搭載され、リリースされました。
MUM(マム)とは、Multitask Unified Modelの頭文字を取ったもので、直訳しますと「マルチタスク統合モデル」ということになります。
2023年12月8日にMUMリリースがされました。
対応言語は、英語、ドイツ語、フランス語、中国語、日本語、韓国語、となっていますが、今後あらゆる言語に拡張して行く予定となっています。
MUMは、テキスト、コード、画像、動画などの多様な情報を処理できるAIモデルであり、
ユーザーの検索意図をこれまで以上に正確に理解して検索結果に反映できるようになるなど、検索結果やSEOに、今後大きな影響を与えて行くことになります。
「BERT」から「MUM」への進化
これまでGoogleの検索エンジンに搭載されてきたAIモデル「BERT」と、
最新のAIモデルである「MUM」の違いを簡単に見ておきましょう。
BERT | MUM | |
発表 | 2018年10月 | 2022年1月 |
---|---|---|
学習データ | 書籍、Webページ、コード | 書籍、Webページ、コード、画像、動画 |
処理能力 | 100億パラメータ | 1370億パラメータ |
タスク | 単語の意味 文脈の理解 質問への回答 | 複雑な質問やリクエストへの回答 多言語間の翻訳 画像や動画の理解 |
「BERT」は、単語や文脈を理解することで、複数の単語を組み合わせた検索や、文章での検索にも対応できる画期的なものでした。
「MUM」では、さらに文章・コンテンツ理解の精度が飛躍的な高まり、多言語対応、動画・画像の理解ができるようになります。
- より精緻・ユーザーの意図を組み込んだ検索結果の表示ができるようになる
- WEBサイトの「コンテンツの質」の評価が可能になる
- 複数の言語を理解できるため、多言語間の翻訳にも対応できる
- 画像や動画も理解できるため、画像や動画を含む検索結果が改善される
「MUM」搭載とこれからのSEO対策
MUMリリースにより、
検索エンジンが、コンテンツの質、関連性、有用性などをより正確に評価できるようになるため、SEOに与える影響も非常に大きいと言えます。
つまり、検索エンジン自体が、コンテンツの質をある程度の正確性をもって評価できる時代に入った、ということができます。
よって、コンテンツの質の重要性はこれまで以上に高まり、
ウェブコンテンツの作成やリライトの際には、
以下の内容に気を付けて行うことが重要です。
- WEBコンテンツは、正確で最新の情報に基づいて作成されていますか?
「間違った情報」「不確かで根拠の薄い情報」「古い情報のまま放置」などの場合、AIが判定して、検索結果から排除されたり、評価を落としたりします。
- WEBコンテンツは、ユーザーの検索意図と関連性が高いですか?
検索クエリ(検索入力された単語や文章)に応じて「検索者の検索意図」を考えて、それに応える内容のコンテンツが必要とされます。
- WEBコンテンツは、ユーザーにとって有益で役立つものですか?
「質の低い」「コピーされた」「他によくある」内容ではなく、それを読んだユーザーが「役に立った」「わかりやすかった」と感じられるような「満足度の高い」コンテンツ
MUMとヘルプフルコンテンツシステム
「ヘルプフルコンテンツシステム」とは、
ユーザーに役立つ(ヘルプフルな)コンテンツを評価して、
検索順位結果に反映させるために行われた検索エンジンのランキングシステムです。
2022年8月に英語圏でヘルプフルコンテンツアップデートとして導入開始され、
2023年1月に日本を含む全世界で導入が開始され、その後アップデートを重ねて
2024年3月にコアアルゴリズムとして導入されています。
ヘルプフルコンテンツシステムにおけるコンテンツ評価は、AIが行います。
このアップデートの特徴は、
- ユーザー満足度の高いコンテンツの検索エンジン評価を高める
- AIがコンテンツ評価を行う
- サイト全体の評価を行う
ことにあります。
つまり、ネット上に大量に存在するウェブコンテンツを、AIが評価して行くということであり、質の低いコンテンツが多いサイトは、サイト全体の評価が下げられてしまう
・・・ということです。
「MUM」AIモデルの検索エンジン搭載によって、
ユーザーの検索意図をより正確に理解できるようになり、より関連性の高い検索結果を表示できるようになります。
MUMとヘルプフルコンテンツアップデートは、極めて密接な関係にあり、
SEO対策においても、これまで以上に、コンテンツの質(ユーザー満足度)の重要度が増すことになります。
MUMとロングテールSEO
「ロングテールSEO」とは、
検索数自体はあまり多くはない「ミドルワード」「スモールワード」での検索で、複数の検索結果で上位表示させることで、閲覧者の全体数を増やして行く手法です。
たとえば、「SEO対策とは?」というビッグワードで上位表示するのは、とても大変ですが、
「SEOとMUM」「SEOとホワイトリンク」など、比較的ニッチなワード検索では上位化が比較的容易ですので、
これまでも、有用なSEO手法と考えられてきました。
MUMが検索エンジンに搭載されたことで、「ロングテールSEO」はさらに重要度を増すことにあります。
なぜなら、
「より複雑な検索者の検索意図をAIが理解する」
「よりユーザーニーズと合致した、質の高いコンテンツが評価される」
ことになるからです。
このように、MUMの登場により、ロングテールSEOは、より効果的なSEO手法へと進化していくことが期待されています。
MUMによる画像・動画の理解と検索結果
「MUM」搭載により、
従来はできなかった検索エンジンの「画像の理解」「動画の理解」が進歩し、検索結果にも反映されてゆきます。
例えば、「猫の画像」という検索から、ネコの画像一覧が検索結果に表示されたり、
「映画名+予告」と検索することで、「予告編」動画が表示されたり、動画の中の「重要シーンのハイライト」が表示されたり、などです。
「MUM」は、現時点では、
画像・動画の「人物」「ストーリー」「感情」「意図」などを理解できる段階にあると言われています。
さらにこれから、動画・画像の内容を把握する・動画・画像での検索意図を理解するなど、さらなるAIの進化による検索エンジンの発展が期待されており、
検索結果表示も、SEOも、AIに伴って大きく変化して行くことになります。
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