SEO・WEB用語
ChatGPTとSEO
SEO・WEB用語
ChatGPTとSEO
対話型AIサービス「ChatGPT」(人工知能チャットボット)の登場は、世界に大きなインパクト与えました。
ユーザーは、世界で1億人お超えており、
今後も世界に影響を与え続けて行くことになるでしょう。
一方で、インターネットでの情報収集の中心であるGoogleなどの「検索システムとの競合関係が今後どのようになるのか?」という点も注目されています。
また、ChatGPTを利用したコンテンツ作成・SEO対策も多くの人が関心のあるテーマでしょう。
この記事では、
などを考えて行きます。
目次
「ChatGPT」は、人が入力した質問に対してAI(人工知能)が会話するような形で答えてくれるサービスです。(ChatGPT-3.5は無料。GPT-4は有料サービスです。)
2022年11月に「OpenAI」がリリースし、2か月で世界のユーザーが1億人を突破。
使い方はとても簡単で、質問入力スペースに、聞きたい内容を入力するだけ。
AIが質問内容を理解し(場合によっては、斟酌・推定して)、答えを直接、文章などで提示してくれます。
ChatGPTは、OpenAIが開発提供しています。
OpenAIは、2015年に、人類の発展に資するAI開発の理念でイーロン・マスク氏などが共同出資して設立されたAI研究所。
本社は、サンフランシスコ。
2018年2月に、イーロン・マスク氏は役員を辞職して、オープンAIを離れ、
2019年にマイクロソフト社が出資を開始し、2023年時点では同社が49%の株式を取得している。
ChatGPTが対応する内容は多岐にわたり、例えば「質問への回答」「文章の要約」「文章翻訳」「Excel関数の表示」「プログラミングコード生成」「作詞・作曲」「架空の話の創作」「会社の企画書立案」「webページ用の見出し立案」「webページ文章の作成」「悩み相談」「小説のあらすじ作成」などを提供してくれます。
ネットで知りたい情報を得て行く方法の中心はこれまで、Googleなどの「検索」でしたが、今後、人々がどのようにChatGPTなどのAIサービスと検索を使い分けて行くのかが注目されています。
Googleなどの検索システムについては、この記事を読んでいる方はよくご存じですので、あらためて説明するまでもないですが、
検索窓に知りたい情報を「単語」「単語の組み合わせ」または「短い文章」で入力して、結果を得るものです。
ChatGPTでは、質問に対してAIが直接回答を示してくれますが、
検索システムにおいては、その回答として「もっとも最適な内容で」書かれていると検索エンジンが考えるウェブページを、1位から順にランキング形式で表示します。
SEOとは、検索エンジン最適化(Search Engine Optimization)のことで、「検索」に対する「答え」としてのランキング順位を上げるための対策を言います。
検索結果の順位が上位であれば、自社のサイトが「多くの人に」見てもらえるため、WEB集客においてSEOは非常に重要となっています。
検索結果ランキングが「検索エンジン」というロボットを介して行わるため、
自サイトを上位表示させるための対策を「検索エンジン最適化」(SEO)というわけです。
SEOの具体的な対策内容をざっくり示すと
となります。
ChatGPTの登場により、
「ChatGPTをSEO対策強化に使えないか?」ということが注目されるようになりました。
ChatGPTが示す質問への回答を使って
「自社サイトの改善」「新規ページの追加」などを行う、という発想です。
このときに2つの質問が思い浮かぶでしょう。
以下、これについて考えて行きましょう。
ウェブサイトのコンテンツ等にAIを活用するうことについてのGoogleの見解は以下の通りです。
「AI 生成を含む自動化を利用したコンテンツ生成のすべてがスパムであるとは限らないことを認識することは重要です。」
「自動化は、これまでも長い間、スポーツの試合結果、天気予報、文字起こしなどの役立つコンテンツを生成するために使用されてきました。」
つまり、自社のホームページに、ChatGPTなどのAIを活用しても「スパム」(違反行為)になるとは限らない…ということであり、
人にとって「役立つコンテンツ」づくりに活用するなら問題ない、のです。
ただし無条件でAI活用がOKというわけではなく、
主に検索ランキングを操作する目的でのコンテンツ生成に使用されている場合は、Google のスパム ポリシーに違反したものとみなされます。
(Google AI 生成コンテンツに関する Google 検索のガイダンス)
つまり、「ユーザーの満足度を高めるためのAI活用」はOKだが、
「検索順位の操作だけを目的」としたものはNG、ということになります。
「検索順位の操作だけを目的」とは、どの程度の・どのような内容かは微妙なところではあるので線引きは困難ですが
「ユーザーの満足度」⇒SEO強化、という流れの中でのChatGPT利用は問題ない、と考えてよいでしょう。
ChatGPT活用におけるSEO対策分野は、主に
「コンテンツ作成」「メタタグの考案」となります。
その他にも、「サイト全体のページ構成」や「内部対策・内部リンク」をどのように行うか、なども活用できるでしょう。
それでは、もっとも利用頻度が高く、SEO対策上効果的と考えられる「コンテンツ作成」から、具体的に方法を見て行きましょう。
ChatGPTは簡単に始められます。
まず、↓を開いて
「日本語」を選択して、右上の「始めましょう」ボタンをクリック。
「メールアドレス」を入れ、「パスワード設定」を行い、続けて
氏名や生年月日、携帯電話番号などを入力して、携帯に送られるコード番号を入れればOK。
すぐに始めることができます。(10分くらいの作業です)
あとは質問を入力して「Enterキー」を押すだけで、AIが質問に答えてくれます。
ChatGPTが最も効果を発揮するのは、「コンテンツ作成」によるSEO対策でしょう。
SEOの中心は、コンテンツ評価ですので、
閲覧者が探している内容に対して「的確で」「わかりやすい」「ためになる」内容のコンテンツを作成することで検索ランキングが上がりやすくなります。
「新規ページ作成」や「既存ページのリニューアル」のどちらでも活用できます。
流れを見て行きましょう。
まずは、作成するページの「タイトル」や「主題」「上位表示を狙うキーワード」を絞るためにChatGPTに質問します。
「このような内容で記事ページを作りたい」というだいたいの考えがまとまったら、ChatGPTに
「○○ という検索の検索意図とペルソナを教えてください」
と質問してみます。
(「ペルソナ」とは、人物像のことです)
たとえば「ホームページ制作会社の選び方」というページを作りたいときに、上記の質問をしてみると、ChatGPTは↓のように回答を返してくれます。
ペルソナ: 中小企業経営者、個人事業主、ウェブサイト初心者
検索意図
●信頼性と実績のある制作会社を見つけたい
●コスト効率の高い制作会社を選びたい
●ウェブサイト制作のプロセスや流れを知りたい
●デザインや機能に関する相談がしたい
「検索する人の人物像(ペルソナ)」と「検索する人の検索意図」が
自分が想定ししているものと合致したら、この主題でページを作る、と決めましょう。
ただし、主題を決める際は、「検索ボリューム」(月間の検索数)の調査も事前に行うようにしてください。
検索数が全くないキーワードでページを作っても、検索順位が上がったとしても「誰も見に来ません」。
検索ボリューム調査はGoogle提供の「キーワードプランナー」が便利です。
主題が決まったら、次に「コンテンツの構成」「見出し」を考えて行きます。
ChatGPTに
「○○ という題の記事の見出しを考えてください」
と質問してみます。
見出しの例
●信頼性と実績を重視しよう
●予算に合った選択を
●デザインと機能の相談ポイント
●カスタマーサポートとアフターケア
●コンサルティングの質を確かめて
●過去のプロジェクトをチェック
●お客様サポート体制の確認
一般的に想定される「見出し」をChatGPTが網羅的に列記してくれますので、参考にしましょう。
これに、自分が入れたい内容を加味しながら、見出しを考えれば、コンテンツの全体像が見えてきます。
見出しを決める際には、実際にそのワードで検索して、上位表示しているサイトの内容も確認して、こちらも参考にするとよいです。
見出しが決まったら、各見出し毎に、ChatGPTにコンテンツを書いてみてもらいましょう。
ChatGPTに
「○○ という題で文章を書いてください」
と質問してみます。
それぞれに見出しに対して、ChatGPTが文章を書いてくれます。
書かれた内容を見て、自分と違う発想があったり、発見があったりしますので、AIの文章を参考・土台にして、コンテンツを書いて行きましょう。
ChatGPTが書いてくれた文章をそのままコピペすれば、本当に短時間で1ページを作成することはできるのですが
実際にコピペでは、SEOに強いページとはならず、検索で上位表示することは難しいでしょう。
以下の点に注意して、AI自動生成コンテンツを利用しましょう。
コンテンツ作成ができたら、メタタイトルタグ・メタディスクリプションタグなどの検索エンジン向けのSEOタグを設定します。
この際に、ChatGPTを活用する、という方法もあります。
ChatGPTを活用する際には、以下のように質問してみましょう。
「○○という題の記事ページのメタタイトルタグを考えてください。
「○○という題の記事ページのメタディスクリプションタグを考えてください。
ChatGPTが、いくつかのタグ候補を挙げてくれますので、それらを参考にしてください。
ただし注意点は、「あくまでも『参考』にするだけ」ということです。
タイトルタグは、実際に自分が狙っているキーワードをしっかり入れなければなりませんし、作成したコンテンツとの整合性が重要となりますので。
メタディスクリプションタグも同様に、あくまで参考として活用してください。
ここまでChatGPTを活用したSEOコンテンツの作成方法を見てきましたが、さらにお勧めなのが、
Googleが提供する対話型AIサービス「バード」(Bard)の活用です。
なにせGoogleが提供している生成型AIですので、検索エンジンとの親和性も高く、よりSEOを意識たコンテンツ作りに役立ちます。
できれば、コンテンツ作成時に「ChatGPT」と「バード」の両方を使ってみるとよいでしょう。
それぞれの回答が示されますので、より幅広く活用でき、気づきや新たな視点も得られると思います。
バードは、インストールの必要もなく、ブラウザ上ですぐに利用開始できます。
(メールアドレスや氏名などの登録も必要ありません)
「グーグルバード」と検索して、ページを開いて使ってみてください。
ChatGPTの登場で
「これから検索は使わなくなって、対話型AIがネットで調べるときの中心になるのでは?」
という声が多く聞かれました。
ChatGPTやGoogleのバードなどの対話型AIサービスも、検索エンジンも、これからさらに技術進歩を遂げて行きますので、今後の見通しを正確にいうことは難しいのですが、
対話型AIと検索システムには、明確な違いがあり、それぞれの長所と弱点を持っています。
ChatGPTなどの対話型AIサービスの「長所」は、
質問に対して「すぐに」「直接」答えてくれる、
幅広いデータから、網羅的な視点で端的な答えを出してくれる
という点いあるでしょう。
ChatGPTに質問することで、新たな気づき・視点を持つことができることが、最大のメリットではないでしょうか?
一方で「短所」は、
答えが、優等生的・平均的である点、
AIが読み込んでいるデータが一定期間のものであるため、最新情報を含んでいない・間違った情報を提示される場合がある
などがあげられます。(今後改善が進むと思いますが…)
Googleなどの検索システムの「長所」は、
人間が書き、まとめて、より具体的で実用性のある情報がある、というところでしょう。
たとえば、関東圏でハイキングコースを探している場合、「おすすめのコース」「ハイキングの時間」「アクセス」など、自分が知りたい情報を詳しく教えてくれ、実用的です。
「短所」は、ChatGPTのように直接答えてくれるわけではなく、ランキング形式でウェブサイトが表示されますので、
自分が欲しい情報にたどり着くまでに時間がかかる点にあるのではないでしょうか。
・・・・
このようにChatGPTなどの対話型AIサービスと検索システムには、それぞれに長所と短所があり、それは相互に補完し合う関係にあります。
ですので、「ChatGPTの登場で、検索が下火になる」ということは考えにくく、
むしろそれぞれを必要に応じて使い、ネットがさらに便利になって行く、と考えた方がよいでしょう。
ただし、SEO対策については、ChatGPTの登場で、これから変化して行くことが予想されます。
SEOに強いコンテンツを考えるときに
「網羅性」と「独自性」の両方が必要、と言われます。
ある検索での質問に対して
「網羅的に内容を展開していること」
「他にはない、独自の内容・見解等があること」
の両方を満たしたウェブページが検索で上位化しやすい、ということです。
たしかに、この2つの側面はこれからも大切なのですが
ChatGPTの登場で、SEOにおいて、「独自性」の面がより重要になって行く可能性があります。
Googleは、従来のコンテンツ品質評価のコンセプト「E-A-T」に、2022年12月に、あらたに E を一つ加えて「E-E-A-T」としました。
あらたな E は「経験」という項目です。
ChatGPTが登場したちょうど同時期に、SEOコンセプトに変更が加えられたことには意味があります。
「E-E-A-T」は
「経験(Experience)」「専門知識(Expertise)」「権威性(Authoritativeness)」「信頼性(Trust)」を指します。
Googleがコンテンツ評価をする際の基準となるコンセプトです。
⇒「E-E-A-T」とは?
ChatGPTなどの対話型AIが得意とするのは、質問に対して「網羅的」な視点で答えを提示してくれることです。
つまり、網羅的な答え・視点が知りたいのであれば、対話型AIで済んでしまうわけです。
検索システムが強みを活かし、対話型AIと差別化して行くためには、
「独自性」を持った内容をユーザーに提供して行く必要があります。
これが、あらたな E 「経験」を加えた意味になります。
「経験(Experience)」は、具体的にはどういうことが求められるのでしょうか?
たとえば、ハイキングコースの紹介ページなら
ハイキングが趣味でいろいろなコースを知っている人が書いたものがより具体的で、参考になりますし、
ハイキングコースの所要時間・トイレ・駐車場などの情報は、そこに行った人がより詳しく、画像も実際に自分撮ったものが、ユーザーは喜ぶでしょう。
分野によって、「経験」をコンテンツに落とし込む内容は変わってきますが、
「経験談・感想」「独自のデータ」「独自の・深掘りした見解・分析」など
他にはない・ユーザーが求めている内容が必要とされ、
これらがSEO対策上でも重視されてゆく方向となると考えられます。
ChatGPTは、質問に対して「網羅的に」答えることを得意としています。
SEOコンテンツにおいて、「網羅性」も引き続き重要ですので、
ChatGPT活用(Googleバード活用)はとても重要です。
ただし、そこに独自の経験に基づく見解・内容が「ない」ままでは、
「ChatGPTと変わらない」ということになり、
SEOに強いコンテンツとはなりません。
ChatGPTで網羅性を確保したうえで、
「他にはない」「独自の」内容を意識してコンテンツを作成することが、
これからのSEOに求められるものとなるのです。
Googleの検索エンジンでは、AI活用が進み、これまで不十分だった検索エンジンロボットによる「コンテンツの理解」が格段に進歩して行きます。
(Google検索エンジンアルゴリズム「MUM」も2023年に導入されます)
SEOに強いコンテンツを作成するには、
「どこにでもある」「表面的な」内容ではダメで、より独自性の強い内容を、AIを活用しながら作成してゆく努力が必要となる時代に移って行きます。
著者:SEOコンサルタント・SEOホームページ代表 占部圭吾